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バイク整備で使うグリス【リチウム、ウレア、モリブデン、シリコン、カッパーグリス】

整備

「グリスそれはなんて奥深いものなのだろう

と皆はいいます。

こんな事を思っていませんか?

  • バイクからギシギシ音が聞こえてくる
  • レバーの動きが悪い
  • グリスっていっぱいあって使い分けとか面倒そう
  • 成分とか性能とか意味がわからない

わかります!

私も10代の頃は、訳もわからず「とりあえずKURE 5-56をスプレーしておけばいいでしょう!」と適当にしていました。

決してKURE 5-56が悪いわけではありません。私が間違った使い方をしていただけです。

グリスというものを塗らないといけないと知ってからは、モリブデングリスが「高いから」という理由だけでいろいろな箇所に塗り、挙げ句の果てにはチェーンにも塗っていました!(真似しないで、ダメ、絶対!!)

お金が無い時は(今もですが…)万能グリス(リチウムグリス)が「モリブデンより安い」という理由で万能グリスしか使っていませんでした。

この記事では、「グリスの種類」「グリスの使い分け」など解説し、それぞれの用途でどれを選べばかいいのかを解決できるお手伝いが出来ればと思います

結局どれがいいの?という方には、元バイク整備士であるゲンがおすすめするグリスを紹介します。

  • ウレアグリス
  • シリコングリス
  • ベルハンマー メタルグリス(お財布に厳しいグリスなので中級者以上の方におすすめ)
ゲン
ゲン

初心者の方は、

ウレアグリスシリコングリスだけでも揃えよう!

中級者以上の方には、

プラスでベルハンマー メタルグリスが非常におすすめです。
(決してベルハンマー信者でも回し者でもありません)

理由は、万能グリスとモリブデングリスとカッパーグリスのいいとこ取りのグリスだからです。

バイク整備に必要なグリスの知識を皆さまと共有出来れば幸いです。

バイク整備に使うグリスは欠かせない物

バイク整備におけるグリスとは、物体が摩擦する(例えばブレーキレバーとブレーキレバーを固定しているピン)と抵抗が生まれて動きが悪くなったり、壊れたり、熱を持って変形したり、削れてサビたりと大変な事になります。

そのような症状を少しでも抑える役割があります。

エンジンオイルなども同じような役割です。

エンジンオイルは他にも気密性を上げるなどもありますが今回はグリスだけの説明とします。

ゲン
ゲン

ちょっと小難しくなるよ〜💦

グリスには次のような役割が求められます。

  1. 減摩作用
  2. 冷却作用
  3. 緩衝作用
  4. 防錆作用
  5. 機械安定性
  6. 使用環境適用性

1.減摩作用

物体(バイクに関しては鉄同士やゴムと鉄など)が接触しながら何か運動(動き)をすると必ず接触面には摩擦が生まれます。

グリスは、この接触面に油膜を作る事によって摩擦を少なくする作用があります。

2.冷却作用

摩擦が生まれるという事は摩擦熱が発生します。

グリスは、この摩擦熱を吸収してその物を冷やす作用があります。

3.緩衝作用

ちょっと難しいですが、点接触または線接触で集中した力を受けるものは、その接触部分には大きな圧力が掛かります。

このように局部的に大きな圧力を長期間受けると摩耗や破損の原因となります。

特にベアリングに対してこの緩衝作用が必要になります。

圧力を分散させると共に衝撃力を吸収する作用があります。

4.防錆作用

表面に薄い油膜を作るので、空気中の水などが直接触れないのでサビの発生を防ぐ作用があります。

5.機械安定性

物体の動きに対して形状(状態)を柔軟に変化させて動きを安定させる作用があります。

6.使用環境適応性

使用する箇所、温度に応じた性能を適応させる作用があります。

グリスにはこのような役割があり非常に重要な整備に必要なケミカル品となります。


そもそもグリスは、鉱物油※1 や 合成油※2 が原料の基油と 増ちょう剤※3 と 添加剤※4 を混ぜ合わせて作ったのがグリスです。

常温では半固体状で潤滑部分が動き始めると摩擦熱で徐々で熱で柔らかくなり、摩擦面に油膜を作ります。

動きが無くなるとまた常温になり半固体状に戻ります。

※1石油や天然ガスなどの天然素材から製造される油

※2人工的に製造された油

※3この増ちょう剤でいろいろな種類と役割を変えています。

※4成分を安定させたり、いろいろな性能を与えています。


グリスには、大きく種類分けが出来ます。

  1. 石けん系グリス
  2. 非石けん系グリス

1.石けん系グリス

増ちょう剤に石けん系を調合したグリス。

石けん系には、カルシウムやリチウム、ナトリウムなどがあります。

2.非石けん系グリス

増ちょう剤に非石けん系を調合したグリス。

非石けん系には、ベントン、シリカゲルなどがあります。

深く掘り下げてもバイク整備に使うグリスがわかればいいのでこれぐらいにしておきます。

ゲン
ゲン

これ以上は専門用語まみれになってパニック!

バイク整備に使うグリス【6種類の性能と使い分け】

今回は、6種類のグリスの性能や使い分けを紹介します。

初めに、

各グリス製造メーカーにより性能が若干違いますが、使用目的は一緒です。

単価もそれぞれ違います。

性能が違うのは、それぞれ調合によって性能が変化する為。

リチウムグリス

分類でいうと石けん系グリスと呼ばれるグリスです。

万能グリスやマルチパーパスグリスと言われます。

半透明の黄色のグリス。

さらに上げている性能は、

  • 耐熱性
  • 耐水性

このように名前の通り大体の場所に使えるのがメリット。

しかし、デメリットとして万能だからこそ全ての性能がそこそこ止まり。

また、ゴムや樹脂には攻撃性があるので使用は控えなければいけません
(メーカーによっては使える成分で製造しているものもある)

耐熱温度は、約150℃となります。(メーカーに差があり)

ウレアグリス

分類でいうと非石けん系グリスと呼ばれるグリスです。

こちらもリチウムグリス同様に万能グリス、マルチパーパスグリスと言われます。

白っぽい黄色グリス。

さらに上げている性能は、

  • 耐熱性
  • 耐水性

このように名前の通り大体の場所に使えるのがメリット。

しかし、デメリットとして万能だからこそ全ての性能がそこそこ止まり。

また、ゴムや樹脂には攻撃性があるので使用は控えなければいけません
(メーカーによっては使える成分で製造しているものもある)

お気づきでしょうが、リチウムグリスと性能は一緒です。

ただ、全体的に性能はウレアグリスの方が勝る感じです。

価格も少しだけ上がります。

耐熱温度は、約180℃となります。(メーカーに差があり)

モリブデングリス

モリブデングリスは、グリス製造時に添加剤にモリブデンという金属を配合させたもの。

簡単に言えば、リチウムグリスにモリブデンを配合したらリチウムグリスベースのモリブデングリスです。

決してリチウムグリスとモリブデングリスを混ぜて作っている訳ではありません。

添加剤にモリブデンという金属を調合したものをモリブデングリスといいます。

ベースグリスが変わると性能を変わってきますが、一般的に多いのはリチウムグリスベースのモリブデングリスが多いように思います。

さらに上げている性能は、

  • 極圧性
  • 耐熱性

モリブデングリスの特徴は、極圧性があるということです。

極圧性とは、字の通りで圧力が掛かる面積が多くて油膜切れを起こすのを防ぐ役割

つまり圧が掛かる部品に使用します。

しかし、ゴムや樹脂には攻撃性があり侵食します。(その物の性質を壊す)

という事は、正直バイク整備で使うところがあまり無いのです。

ただ、モリブデンにも種類があり、有機モリブデンはゴムと樹脂を侵食しないという利点があります。

  1. 二硫化モリブデングリス
  2. 有機モリブデングリス

違いを簡潔にいうと、

1.二硫化モリブデングリス

ゴム、樹脂は侵食する。(その物の性質を壊す)

グリスの色は黒色。

2.有機モリブデングリス

ゴム、樹脂を侵食しない。(その物の性質を壊す)

二硫化モリブデンよりすべての性能が高い(一説には水には弱い)

また、酸化防止作用があるので二硫化モリブデンより長寿命。

グリスの色は黄色っぽい色。

両方とも耐熱温度は、約150℃〜約200℃ぐらいです。(メーカーに差があり)

このように有機モリブデングリスであれば圧が掛かる部品にはすべて使えます。
(ゴム部品が関わっていても使える)

しかし、二硫化モリブデングリスより10倍ぐらい価格が高いのです。

ゲン
ゲン

結論!

私の見解は、モリブデングリスはそこまで必要じゃない。

ただ、エンジンを組み上げたりする場合は、有機モリブデングリススプレーが必要になります。

エンジンオーバーホールする時に購入するぐらいで基本整備では私は必要無いと考えます。

シリコングリス

シリコングリスは、基油にシリコンオイルを使って製造したグリス。

白色グリス。

さらに上げている性能は、

  • 耐熱性
  • 耐水性
  • シール性

シリコングリスは、シール性があるのでゴムや樹脂にも使えます。

他のグリスに比べると耐水性も優れている点です。

耐熱温度は、約200℃ぐらいです。(メーカーに差があり)

主に使う場面は、シール類の整備をする時に使います。

ブレーキの組み上げ時のシール取付時やフロントフォークの組み上げ時のシール取付時など。

バイク整備ではゴム類がある部品が多いのでシリコンオイルは欠かせないグリスです。

ラバーグリス

ラバーグリスは、基油に鉱物油(ブレーキフルードと同系統の油)で製造されたグリス。

半透明、赤、黄色のグリス。

引用元:株式会社パパコーポレーション(スーパーゾイル)

役割はシリコングリスとほぼ同じでゴムを侵食少ないグリスです。(その物の性質を壊す)

耐熱温度は、約130℃ぐらいです。(メーカーに差があり)

ただ、ラバーグリスはブレーキ周りに特化したグリスとなります。

基油にブレーキフルードと同系統の油で製造されているのでブレーキ内でグリスが溶け合うようになっている。

よってブレーキ周り以外には使えません。

シリコングリスの方がやや値段は高いですが、使用用途が多いのでシリコングリスだけで良いのです。

ゲン
ゲン

シリコングリスがあればいらないね。

カッパーグリス

カッパーグリスは、基油に半合成油が使われており添加剤に銅やグラファイト、モリブデンなどを調合しているグリス。

銅の色が目立つ色合いのグリス。

引用元:株式会社デイトナ公式HP

役割は、耐熱性を上げて焼きつき防止(かじり防止)のグリスです。

焼きつき(かじり)とは、ネジ部が熱の上昇や摩擦熱などの原因で金属同士が結合して一体化してします現象。

こうなるとネジは回らず折るしか方法がありません。

その現象を防止する為に存在するグリスです。

使う場面は、マフラーのスタッドボルト(マフラーとエンジンを繋げているボルト)やエンジンのスタッドボルト(シリンダヘッドとシリンダを合わせているボルト)などがあります。

エンジン熱が直接影響するボルトです。

純正部品では使われていませんが、カスタム目的(ドレスアップ)でステンレス製のナットを鉄製のボルトに使ったりしますが焼きつきをよく起こしています。

カッパーグリスを塗っておけば完全ではありませんが、防ぐ事が出来ます。

ただ、塗りすぎるとボルトのトルク管理が出来ず締めすぎで折れてします可能性もあるので塗りすぎにはご注意ください。

耐熱温度は、約800℃以上〜(メーカーに差があり)

マフラーを交換する事はよくあるので、カッパーグリスは持っておいた方がいいです。

また、通電効率が上がるとも言われています。
(電気を通しやすくなる)

単純に銅の成分が入っているので理には叶っています。

元バイク整備士ゲンの【おすすめグリス】3選!

私がおすすめするグリスは、3点あります。

ウレアグリス

ウレアグリスは、ゴム部品が関係する部品以外に使用します。

ゴム製品に使ってもいいウレアグリスも存在しますが、シリコングリスよりいいとは思っていません。

少しでもリスクがあるならと考えて私はゴム部品以外の場所はウレアグリスを使います。

シリコングリス

シリコングリスは、ゴム部品が関係する部品や箇所に使用します。

やはりゴムにはシリコンと思っていますのでシリコングリスは欠かせません。

ベルハンマーメタルグリス

ベルハンマー メタルグリスはグリスの種類でいえばカッパーグリスです。

銅、アルミ、チタンなどの金属成分が含まれています。

万能グリス+モリブデングリス+カッパーグリスの役割を担っているグリスです。

  • 耐熱温度が約800℃以上
  • ゴムへの攻撃性が少ない
  • 極圧性も兼ね備えいる

以上の性能です。

ゲン
ゲン

グリスの中で1番おすすめだよ♪

メタルグリスがあればウレアグリスもいらないかと思ったのですが、私の感覚で粘度が少し柔らかい気がします。

その事から摺動部(回ったりする部分)などには向かないと思い、そういう部分にはウレアグリスを使っています。(ある程度塞がっている状態の部品には積極的に使います。)

また、ウレアグリスと併用する理由は、金額の問題です。

やはりメタルグリスは高いのであまり多用すればすぐに無くなるからです。💦

もしメタルグリスはちょっとという方は、カッパーグリスは持っておくといいです。

モリブデングリスは、お好みで。

バイク整備に使うグリス まとめ

バイク整備におけるグリスとは、鉄同士が摩擦すると抵抗が生まれて動きが悪くなったり、壊れたり、熱を持って変形したり、削れてサビたりする。

そのような症状を少しでも抑える役割をグリスが行なっています。

次の作用をグリスは担っている。

  1. 減摩作用
  2. 冷却作用
  3. 緩衝作用
  4. 防錆作用
  5. 機械安定性
  6. 使用環境適用性

グリスは下記表のように大きく分けれます。

  1. 石けん系グリス
  2. 非石けん系グリス

今回は、6種類のグリスの性能や使い分けを紹介しました。

  • リチウムグリス
  • ウレアグリス
  • モリブデングリス
  • シリコングリス
  • ラバーグリス
  • カッパーグリス

リチウムグリスは、

万能グリスである程度の場所に使えるグリスだが、ゴム製品に攻撃性があるのでゴム製品以外の部品に使う。

ウレアグリスは、

リチウムグリス同様、万能グリスである程度の場所に使えるグリスだが、ゴム製品に攻撃性があるのでゴム製品以外の部品に使う。

性能はリチウムグリスよりやや優れている。

モリブデングリスは、

極圧性を向上させ圧が掛かる部品に使えるグリス

種類が、

  • 二硫化モリブデングリス
  • 有機モリブデングリス

二硫化モリブデングリスは、ゴム製品には攻撃性があるのでこちらもゴム製品以外の部品に使う。

有機モリブデングリスは、ゴム製品への攻撃性が少ない

また、酸化防止作用もあるので長寿命。

デメリットは、値段が二硫化モリブデングリスより10倍ぐらい高い。

シリコングリスは、

シール性があるのでゴムや樹脂にも使えます。

他のグリスに比べると耐水性も優れている点です。

主に使う場面は、シール類の整備をする時に使います。

ラバーグリスは、

役割はシリコングリスとほぼ同じでゴムを侵食が少ないグリスです

ラバーグリスはブレーキ周りに特化したグリスとなります。

カッパーグリスは、

耐熱性を上げて焼きつき防止(かじり防止)のグリスです。


おすすめグリス3選は、

  • ウレアグリス
  • シリコングリス
  • ベルハンマー メタルグリス

ウレアグリスは、ゴム部品が関係する部品以外に使用します。

ゴム製品に使ってもいいウレアグリスも存在しますが、シリコングリスよりいいとは思っていません。

少しでもリスクがあるならと考えて私はゴム部品以外の場所はウレアグリスを使います。

シリコングリスは、ゴム部品が関係する部品や箇所に使用します。

やはりゴムにはシリコンと思ってしますのでシリコングリスは欠かせません。

べルハンマー メタルグリスは、

グリスの種類でいえばカッパーグリスです。

万能グリス+モリブデングリス+カッパーグリスの役割を担っているグリス。

以上が【バイク整備で使うグリスを学ぶ】となります。

ゲン
ゲン

ありがとうございました!

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