引用元:カワサキモータース株式会社公式HP
この写真を見て懐かしいと思う方は、同世代かちょっと上の世代の方でしょう。
私がバイクに興味を持ち出した頃は、ゼファーやZRXの全盛期でした。
今では考えられない中古価格で販売していて、買っておけばよかったといつも後悔しています。
初めて乗ったネイキッドはゼファーχ。
それまでは、NSR250などのレプリカばかり乗っていたので乗った瞬間に
「なんて楽なバイク!」と衝撃を覚えています。
他のネイキッドでもきっとそう思ったのでしょうがゼファーに対しての憧れがあったので余計にそう感じました。
それから20年近い月日が流れて今はゼファー1100に乗っています。
kawasakiのバイク屋に勤めている時にいろいろな車両に乗りましたが、やはりゼファー1100に乗りたいと思って購入して今に至ります。
92年のA1でもう30年以上前(2024年現在)のバイクです。
個人売買で購入したのでいろいろ故障や部品調達などが大変ですが、それもまた喜びと感じながら日々愛車のゼファー1100を眺めています。
今回の記事は、ゼファー1100の歴史やスペック、メリット、デメリットなどを解説して魅力あるゼファー1100を紹介出来たらと考えています。
少しでも興味があって購入を考えている方の参考になれば幸いです。
ZEPHYR(ゼファー)1100の歴史
1990年前後400cc以下の中型バイクでネイキッドブームが起こります。
それに拍車をかけるように、1990年に750ccオーバーのバイクが解禁になる事でリッタークラス(1000cc以上)にもネイキッドの風が吹き始めました。
1992年にゼファーシリーズ最後に発表されたゼファー1100。(ゼファーχを除く)
細かくいえばすでに1991年にGPZ900Rの国内仕様(海外仕様を国内仕様にしたバイク)という形で登場していましたが、純粋な国内モデルとしてはゼファー1100が初めてとなります。
引用元:goo bikeより
この後に続き、HONDA CB1000SF、YAMAHA XJR1200、SUZUKI GSX1100Sカタナと各バイクメーカーのリッタークラス(1000cc以上)が揃いました。
エンジンは、ベースをアメリカ輸出用モデル【VOYAGER(ボイジャー) XII】の水冷1200ccエンジンをベースにして、空冷化や排気量を1196ccから1062ccへダウンさせました。
↓VOYAGER(ボイジャー) Ⅻ(12)
引用元:株式会社リバークレインより
ゼファー400はZ400FX、ゼファー750はZ650から続くエンジンを搭載しています。
そして、外観イメージはまさにZ2。
↓Z2(750RS)
引用元:webオートバイより
さらに1996年には、スポークホイールのゼファー1100RSが発売スタートとなります。(2003年まで)
↓ZEPHYR1100RS
引用元:goo bikeより
2002年に排ガス規制が始まります。
その規制の対応をする為に開発されたシステム、
・KLEEN(Kawasaki Low Exhaust Emission system)
KCAとマフラーの触媒を合わせて排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するシステム。
・KCA(Kawasaki Clean Air)
排気ポートに新鮮な空気を入れる事で排出ガスを再燃焼させるシステム。
・K−TRIC(Kawasaki-Throttle Responsive Ignition Control)
キャブレターに付いており点火時期を最適化する事で排気ガス未燃焼ガスを減少、騒音防止の役割を果たす。
を搭載して対応しました。
2003年には騒音規制に対応する為にエアクリーナー上部にカバーを付けて燃料タンクを1ℓ落とし馬力を6馬力程度落とし規制に対応しました。
しかし、2008年にまた排ガス規制があり、それにはどうしても対応する事が出来ずに生産終了となりました。
2007年式まで大きな変更は無くある意味長寿モデルのバイク。
1997年に水冷エンジンのZRX1100が発売となり、ゼファー1100が下火になりましたが『基本を変えず、素材を磨く』というゼファーシリーズのポリシーを突き通したバイクになります。
全年式一覧
型式 | 年式 | エンジン | 変更 |
A1 | 1992年式 | 前期(エンジン色シルバー) | |
A2 | 1993年式 | 前期(エンジン色シルバー) | |
A3 | 1994年式 | 前期(エンジン色シルバー) | ミッションを変更 |
A4 | 1995年式 | 前期(エンジン色シルバー) | |
A5 | 1999年式 | 前期(エンジン色シルバー) | マイナーチェンジ |
A7 | 2002年式 | 中期(エンジン色シルバー) | 排ガス規制対応 |
A8 | 2003年式 | 中期(エンジン色シルバー) | 騒音規制対応 |
A9 | 2004年式 | 後期(エンジン色ブラック) | タンク、サイドカバーのエンブレム変更 |
A10 | 2005年式 | 後期(エンジン色ブラック) | |
A6F A6FA A6S A6SA | 2006年式 | 後期(エンジン色ブラック) |
主要諸元
全長/幅/高 | 2165/780/1115mm |
シート高 | 795mm |
車軸距離 | 1495mm |
車体重量 | 243kg(乾) [249kg(乾)] |
燃料消費率 | 24.0km/L |
燃料容量 | 19.0L <18.0L> |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1062cc |
最高出力 | 93ps/8000rpm {91ps/7500rpm} <86ps/7500rpm> |
最高トルク | 9.1kg-m/7500rpm {8.9kg-m/7000rpm} <8.5kg-m/7000rpm> |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70-18(59V) 後160/70-17(73V) |
バッテリー | FTH16-BS |
プラグ | CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40から20W-50 |
オイル容量 | 全容量5.0L 交換時3.8L フィルター交換時4.1L |
スプロケ | 前16|後45 |
チェーン | サイズ530|リンク114 |
車体価格 | 849,000円(税別) [870,000円(税別)] ※[]内はRS(ZR1100B) ※{}内は2001年以降モデル ※<>内は2003年以降モデル |
ZEPHYR(ゼファー)1100の強みと弱点と対策
ゼファー1100の強みは、
- カスタムパーツが豊富
- 情報がある
- プレミア価格になる可能性
- 街乗りも峠も走れる
1.カスタムパーツが豊富
カスタムする人が多いのでカスタムパーツは探せばいくらでも出てくる。
また、純正部品では廃盤の部品でも社外品だが補修パーツがあるのが良い。
2.情報がある
30年近く愛されているバイクなのでネットやYouTubeでいくれでも情報が手に入る。
3.プレミア価格になる可能性
今のZ1やZ2のように価値は上がっていく可能性が大いにあると私は考えております。
(20年後とかだとは思いますが)
4.街乗りも峠も走れる
オーナーの趣味嗜好で街乗り仕様にも峠仕様にもカスタム出来るバイク。
ゼファー1100の弱みは、
- ヘッドカバーオイル漏れ
- クラッチのバックトルクリミッター問題
- トランスミッション 2速問題
- バンク角
- エンジン回転数3,000rpm付近の乗りにくさ
1.ヘッドカバーオイル漏れ
空冷エンジンではよくある症状ですが、特にゼファー1100オーナーは1度は経験する症状。
ガスケットを交換すれば済む。
引用元:カワサキモータース株式会社公式HPより
2.クラッチのバックトルクリミッター問題
特にA1、A2のクラッチが対策品でないので対策品に交換する必要がある。
A3以降は対策品なのでA3以降の純正品に交換。
引用元:カワサキモーターズ株式会社公式HPより
また、クラッチハブのダンパーもガタが出やすいので整備する機会がある時に部品が入手出来るなら交換した方が良い。
引用元:カワサキモーターズ株式会社公式HPより
3.トランスミッション 2速問題
A1〜A5のトランスミッションの2速ギヤが故障しやすい。
2速ギヤと5速ギヤが噛み合う部分がうまく噛み合わず無理矢理噛み合う事が続き摩耗や破損をさせてしまう。
ひどくなれば2速、5速ギヤが破損とシフトフォーク、チェンジドラムも破損してしまう。
A7以降に対策品となっているのでそれに交換する必要がある。
交換する場合はエンジンを下ろさないと出来ないのでバイク屋さんに依頼する場合は信頼のあるバイク屋さんにお願いしましょう。(修理代も覚悟が必要です。)
しかし、乗り方次第で破損しない車両もあるので交換する必要が無い車両もあります。
引用元:カワサキモーターズ株式会社公式HPより
引用元:カワサキモーターズ株式会社公式HPより
4.バンク角
オイルパンが下側に出っ歯ってる構造上コーナー時や交差点を曲がる時に擦ってしまいます。
マフラーもオイルパンを避けてる取り回しになるのでマフラーが擦ってします。
対策は、
・オイルパンを社外品のフラットタイプに交換。
・車高を上げる。
・社外品マフラーで取り回しをチェックして交換。
オイルパンとマフラーを交換するだけでも変わります。
あとはリアアスペンションを硬くしたり、エキセントリックカラー(アジャスター)を反転させて無理矢理車高を上げる方法などあります。
エキセン反転は少し邪道な気がしますが、構造上は問題ありませんがリアサス特性が変わる可能性があります。(リアの上下運動の特性(アンチスクワット&リフト)が変わる可能性がある)
5.エンジン回転数3,000rpm付近の乗りにくさ
この回転域付近では乗りにくい。
キャブレターのセッティング次第で変わる可能性もありますが、なかなか難しい。
特に街乗りでは頻繁に使う回転域なので辛い。
my ZEPHYR(ゼファー)1100
実際に私が乗っているゼファー1100を軽くご紹介します。
1992年式 A1型 30,500km
カスタム
- ヘッドライト マーシャル イエローレンズ
- ヘッドライト HID化
- 前後スモークウィンカー LED化
- バーハンドル
- クラッチマスター ニッシン横型
- ヨシムラ PRO -GRESS2 マルチテンプメーター
- ショート管
- ホイール ゲイルスピード 17インチ
- リアタイヤ 6J化(幅増)
- スイングアーム 6J 仕様化 メッキ、補強加工
- リアサスペンション オーリンズ
- フェンダーレスキット
- 外装全塗装
- オイルクーラー アクティブ
- バックスステップ化 など
整備歴(私が所有してから)
- フロントフォーク オーバーホール
- 燃料コック交換
- オルタネーター交換(海外製)
- キャブレター オーバーホール
- 油圧クラッチマスターとシリンダー オーバーホール
整備動画をYouTubeに投稿しています。
ZEPHYR(ゼファー)1100 まとめ
1990年前後400cc以下の中型バイクでネイキッドブームが起こります。
1990年に750ccオーバーのバイクが解禁になる事でリッタークラス(1000cc以上)にもネイキッドの風が吹き始めました。
1992年にゼファーシリーズ最後に発表されたゼファー1100。(ゼファーχを除く)
引用元:goo bikeより
エンジンは、ベースをアメリカ輸出用モデル【VOYAGER(ボイジャー) XII】の水冷1200ccエンジンをベースにして、空冷化や排気量を1196ccから1062ccへダウンさせました。
外観イメージはZ2。
さらに1996年には、スポークホイールのゼファー1100RSが発売スタートとなります。(2003年まで)
引用元:goo bikeより
2002年に排ガス規制が始まります。
その規制の対応をする為に開発されたシステム、
・KLEEN(Kawasaki Low Exhaust Emission system)
・KCA(Kawasaki Clean Air)
・K−TRIC(Kawasaki-Throttle Responsive Ignition Control)
を搭載して対応しました。
2003年には騒音規制に対応する為にエアクリーナー上部にカバーを付けて燃料タンクを1ℓ落とし馬力を6馬力程度落とし規制に対応しました。
しかし、2008年にまた排ガス規制があり、それにはどうしても対応する事が出来ずに生産終了となりました。
ゼファー1100の強みは
- カスタムパーツが豊富
- 情報がある
- プレミア価格になる可能性
- 街乗りも峠も走れる
ゼファー1100の弱みは、
- ヘッドカバーオイル漏れ
- クラッチのバックトルクリミッター問題
- トランスミッション 2速問題
- バンク角
- エンジン回転数3,000rpm付近の乗りにくさ
以上が【Zの意志を継ぐ】kawasaki最後の空冷エンジンZEPHYR(ゼファー)1100を解説です。
ありがとうございました!
他にも記事があるのでご覧下さい。